中国エデュテック市場の新潮流:「智習室」の登場
中国における自習室の現状
中国では、有料の「自習室」というサービスが人気を博しています。これらの自習室は、インターネットカフェのようなオープン席で、勉強や仕事に集中できるプライベート空間を提供しています。設備は充実しており、プリンターやお菓子、飲み物、文具類が用意されています。店舗によっては、入り口にある二次元コードを専用アプリで読み取るとドアが解錠される仕掛けがあったり、スマートスピーカー内蔵の卓上ライトが置いてあったりと、差別化が図られています。
自習室の急増とその課題
- 自習室の急増:2019年から急増し、2022年には利用者が約9倍に増加しました。
- 競争の激化:サービスの差別化が難しく、競争が激化しています。
学習機の市場とその課題
一方で、教育用タブレット「学習機」も販売されていますが、消費者の財布のひもは緩まない状況です。これらの学習機は、Androidを搭載した教育用タブレットで、クラウドの学習アプリだけが利用できるようカスタマイズされています。AI機能などを搭載した高価格帯モデルが相次いで発表されていますが、販売価格はおおむね5万~10万円で、それ以上の高級モデルもあります。
学習機の販売不振
- 高価格帯モデルの登場:AI機能を搭載した高価格帯モデルが発表されています。
- 消費者の消極的な反応:高価格にも関わらず、消費者の反応は消極的です。
「智習室」という新サービス
最近、自習室と学習機を組み合わせた「智習室」というサービスが登場し、中国全土で増加しています。自習サービスである点は変わりないが、高価な学習機をレンタルすることでそれぞれの能力に合わせた学習ができるという特徴があります。英語のスピーキングやヒアリングを練習するコンテンツもあるため、一定の騒音が許容される環境です。
智習室のメリット
- 自習する雰囲気の提供:自習するための適切な環境が整備されています。
- AIを活用した学力分析:AIを活用して学習の内容やレベルを調整し、個別の学習ニーズに対応します。
中国エデュテック市場の今後の展望
中国のエデュテック市場は、新しいサービスモデルの登場により、今後も大きな変化が予想されます。特に、智習室のような革新的な教育サービスは、市場に新たな動きをもたらす可能性があります。しかし、消費者の財布のひもが緩まない現状を考えると、サービス提供者は価格設定やサービス内容の工夫が求められます。
まとめとコメント
中国のエデュテック市場は、自習室と学習機という二つのトレンドを中心に進化しています。新しいサービスモデル「智習室」の登場は、市場に新たな活力をもたらす一方で、消費者の反応や市場の動向に注目が集まっています。今後の中国エデュテック市場の動向は、教育技術の進化とともに、世界的な関心事となるでしょう。
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